私を見つけて
私を見つけて
それからも、同じ時間に私は図書館に向かった。
土曜日と日曜日のアキはいつもの制服姿じゃなくて、私服だったけど、私はいつも制服で、でもそのことについてアキはなにも聞いてこなかった。
聞いてもはぐらかされるだと思ったのかもしれない。
ただたんに深く考えなかっただけかもしれない。
どちらにしても、聞かれなくてよかったと思う。
「ゆで卵ってあるじゃん」
勉強が一区切りしたとき、ふいにアキが口を開いた。
ゆで卵?私は首をかしげて聞き返す。
「そう、ゆで卵。あれのさ、白身と黄身、どっちが好き?」
「黄身」
「えー。白身のほうがおいしいじゃん」
アキは少し身をそらして大げさに驚いた顔をした。
「じゃあさ、こしあんとつぶあんは?」
「つぶあん」
「まじかよ、こしあんだろ……」
「どっちでもいいし」
「え? 肉と魚だったらどっちが好き?」
「お魚」
「とことん合わないな、さくらとは」
そうみたいですねー、と私はわざと棒読みで答える。
「ってか、さくら、嫌いなたべもの何?」
「しいたけとトマト」
「子どもかよ」
「うるさいな、そっちは?」
「人参とピーマンと食パンの耳」
あきれて私は吹き出すと、アキはなんだよー、と不満げな声を出した。
「アキのほうが子どもみたい。それに食パンの耳ってなによ」
「だって、おいしくないじゃん、あそこ」
「え、おいしいじゃない。私は好きだけど」
「ほんと、合わないよな。俺たち」
アキは苦笑してから、「あ、でも」と思いついたように言った。
「ある意味、あうのかも。だって、俺が残した黄身とか食パンの耳をさくらが食べてくれればいいじゃん」
いやだよ、と私は返してアキを笑いながらにらんだ。
アキは、ある意味合うな、ともう一度言って笑った。
土曜日と日曜日のアキはいつもの制服姿じゃなくて、私服だったけど、私はいつも制服で、でもそのことについてアキはなにも聞いてこなかった。
聞いてもはぐらかされるだと思ったのかもしれない。
ただたんに深く考えなかっただけかもしれない。
どちらにしても、聞かれなくてよかったと思う。
「ゆで卵ってあるじゃん」
勉強が一区切りしたとき、ふいにアキが口を開いた。
ゆで卵?私は首をかしげて聞き返す。
「そう、ゆで卵。あれのさ、白身と黄身、どっちが好き?」
「黄身」
「えー。白身のほうがおいしいじゃん」
アキは少し身をそらして大げさに驚いた顔をした。
「じゃあさ、こしあんとつぶあんは?」
「つぶあん」
「まじかよ、こしあんだろ……」
「どっちでもいいし」
「え? 肉と魚だったらどっちが好き?」
「お魚」
「とことん合わないな、さくらとは」
そうみたいですねー、と私はわざと棒読みで答える。
「ってか、さくら、嫌いなたべもの何?」
「しいたけとトマト」
「子どもかよ」
「うるさいな、そっちは?」
「人参とピーマンと食パンの耳」
あきれて私は吹き出すと、アキはなんだよー、と不満げな声を出した。
「アキのほうが子どもみたい。それに食パンの耳ってなによ」
「だって、おいしくないじゃん、あそこ」
「え、おいしいじゃない。私は好きだけど」
「ほんと、合わないよな。俺たち」
アキは苦笑してから、「あ、でも」と思いついたように言った。
「ある意味、あうのかも。だって、俺が残した黄身とか食パンの耳をさくらが食べてくれればいいじゃん」
いやだよ、と私は返してアキを笑いながらにらんだ。
アキは、ある意味合うな、ともう一度言って笑った。