世界は秘密と嘘でできている
【出会いは仕組まれたのか】
〜6年後〜
夜の繁華街の狭い路地を入ったところ。
最初に目につくのは赤。血だ。
沢山の『人』が地面に突っ伏している。
その中心に立つのはフードを深く被った小柄な…少年?周りに転がっているいる『人』を冷たい目で見る。
拳を真っ赤に染めながら。
しばらくするとそのフードを深く被った人物に1人の男が近づいていった。
「ヒューウ。やっぱすごいねぇー″リュウ″ちゃんは。んー今回もハズレかあ」
「そのちゃん付けやめろ。キモい 」
「あれー反抗期?こっわー。育て方間違えたかなー」
「タツヤさん、本当ウッザ」
リュウと呼ばれた人物はフードを取りはしないものの、さっきよりも浅くフードを被った。
すると顔が月明かりに照らされはっきり見えた。くっきりの二重の目。筋の通った鼻。形のいい唇。肌の色は白い。恐ろしい程顔が整っている。
タツヤと呼ばれる人物もそこらのモデルよりも顔は良いし、背も高くスタイルも良い。誰もが目をとめる2人という感じだ。
「あ、そういえばナイフどうした?」
タツヤの口から物騒な単語が発せられた。
「…捨てた」
「嘘だね。俺に嘘がバレないと思った?」
「…ウザい」
「っはは。あ、話変わるけどさー、明日から″アッチ″はしばらく休みね。そんでこの高校通えよ。編入の手続きはしてあるから」
「また勝手に」
「驚かないんだね」
「さすがに慣れた」
ははっとタツヤは笑う。
リュウはあきれ顔だ。そして眉間にシワを寄せた。
「でもよりによってこの街…」
「あー昔住んでたよね」
カラン
「リュウちゃん、何か落ちたよ。ピンクのガラス?」
「切れた、ヒモが」
「なんでそんなの持ち歩いてんの?」
「別に…もう捨てるつもりだったし」
「だーかーら。俺に嘘は通用しないって」
「チッ」
「やっぱ反抗期だー」
「ウザい、もう行くから」
「おー」
フードを再び深く被ったリュウは夜の街へと消えて行く。
タツヤは一人ここを動かない。
「結局拾ってったな、あのガラス。しってんだよ、あのガラスには昔の仲間との思い出が詰まってることも。そいつらがこの街にいることもな」
はりつけたような笑顔で笑う。
『サイゴノジユウダ。タノシメヨ』
そう言い残しタツヤも夜の街へ姿をけした。