冬の魔女と日だまりの姫
冬の世界
魔女が雪の中の小さな部屋で花の絵を集めた本を眺めていたとき、突然風が吹いてきました。
風がやむと、その風が吹いていた中心にはあのお姫さまがいました。
それを見た瞬間、魔女は嬉しそうに笑いました。
「こんにちは、お姫さま」
そう言って魔女がお姫さまに駆け寄ると、寒さに震えて今にも凍ってしまいそうになっていました。
声をかけても返事をしてくれないお姫さまに、不思議に思った魔女は言いました。
「どうしたの? なんで返事をしてくれないの?」
なんで?なんで?と質問を繰り返すうちに、お姫さまの唇が微かに動いたのに気づきました。
「なに?」
「……ぃ、」
「え?」
「さむ、い」
カタカタと震える唇から微かに音が聞こえました。
“さむい”?
寒いって?
魔女は不思議に思いました。