冬の魔女と日だまりの姫



物語に出てくる魔女はいつだって恐ろしい姿で、私たちにわけのわからない不気味な魔法を見せるのです。


そうして人々を苦しめる。

それが魔女なのだと思っていたのです。


けれど、どうでしょう。

今、目の前にいる“魔女”と名乗る少女は、どうみても自分と同じような年頃の普通の女の子にしか見えません。


老婆の姿ではありません。

怖い顔もしていません。

恐ろしいことも言っていません。



“寂しいからそばにいて”


ただそう訴えて、すがっているようにしか見えないのです。


「あなたは、ずっとここにいたの?」

魔女はまた無言でうなずきます。


「じゃあ、」

またお姫さまが口を開きかけて、ためらってから、やっぱりやめてしまいました。


“ずっとひとりで?”


言いかけて消えたセリフに、魔女が首を傾げています。



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