冬の魔女と日だまりの姫


あわてて他に何かを言おうとしたとき、ぐぅぅぅぅうぅぅう、という音が聞こえました。


お姫さまは真っ赤になってうつむきます。

「ご、ごめんね、えっと」


言い訳をしようとしたとき、未だに首を傾げて不思議そうにしている魔女に気がつきました。


「今の、なんの音? なんでお姫さまが謝るの?」


本気でわからない、という顔をしている魔女に、お姫さまはハッとしました。

魔女は、ほんとうに一人きりで生きてきたのです。


それと同時に思ったのは、この雪と氷だけのこの世界で食糧をどうやって手にいれていたのか? というものでした。


「今のは、お腹がすいた音だよ。びっくりさせてごめんね?」

そう言ってみれば、納得したような顔をしている魔女。

「わかった。ちょっと待ってて。」

そう言って魔女は奥の方へと行きました。


そのとき初めて、この部屋には扉が3つあることに気がつきました。


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