冬の魔女と日だまりの姫


魔女は俯いたお姫さまの顔をのぞき込んで問い返しました。

「お姫さまの?」
 
「そう、みんな私があなたに攫われたと思っているみたい。」
 
「さらう?」
 
「勝手に連れて行ってしまうことよ。」
 

そう説明すると、ますます魔女は首をかしげました。
 
「もし、それが拐うということなら、わたしはきっとお姫さまを拐ったのだと、思う、けど。」
 
「いいえ、違うわ。私は、私の意思でここに来たのよ。」
 

お姫さまは、強い意志を秘めた眼で、魔女を見つめます。
 

「私は、私の意思で、今までここに留まっていたのよ。」
 
泣きそうな声で訴えます。


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