百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


こ……コピー?!


私は、目を輝かせて目の前の薔薇を見つめた。


すごい!芝狸すごいよ!

これで、私の内職も一瞬で片付く!


私が尊敬の瞳で芝狸を見ると、芝狸はわざとらしく咳払いをして、胸を張った。


『遊馬もわしを尊敬し直したと言っておったわ。

どうじゃ、お前たちもわしの凄さがわかったか?』


私と周くんは首を縦に振って答える。


確かにすごいけど……

…これっていつ使う技なのかな?


私が、じっ、と芝狸の作った薔薇を見つめていると、周くんがきょろきょろしながら言った。


「そういえば、相楽くんはまだ来ないね。

最近見ないけど、今日も来ないのかな?」


それを聞いて、私は、はっと思い出す。


「実は、さっきまで一緒だったんだけど、事務所に着く前に別れちゃったんだ。

……急用思い出した、とか言ってたけど?」


私の言葉に、周くんと芝狸は首をかしげる。


『なんじゃ?その“急用”というのは?』


芝狸の言葉に、私は首をかしげながら「わかんないよ。」と答えた。

狸を追いかけて行っちゃったし、妖関係なのかな?って思ってたけど

芝狸が指示したことじゃないの?

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