百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時、先頭を走っていた周くんの足が、ピタリと止まった。
「っ、どうしたの?周くん……」
驚いて周くんを見上げると、周くん越しに見えた影に、私は言葉を失った。
あれは………?!
私たちの視線の先には、狐のお面をつけた人が四、五人立ちはだかっている。
彼らはまるで、私たちの行く手を阻むかのように、階段の上から無言でこちらを見下ろしていた。
その姿を見た時、私は、はっ!と思い出す。
確か、あのお面……今までにも見たことがある。
そうだ!
変な路地で、遥に助けてもらって、一緒に出口まで歩いている時
同じお面をつけた人が路地の中を歩いているのを見た!
すると、周くんが何かに気づいたように彼らを見ながら言った。
「あのお面の奴ら、最近行方不明になったってテレビに映っていた人たちと同じ服装をしている…。
……まさか…その彼らなのか……?」
え……っ!
私が、驚いてお面集団を見上げた瞬間
背後から聞き覚えのある声が響いた。
「その、まさかだよ。
そいつらはみんなカンパニーの手下どもさ。……そのお面をつけている限り、記憶も、人格もすべて消える。」