百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時、紺が細めていた瞳を、カッ!と開いた。
びくっ、と雅さんが震える。
そして、紺は低い声で言い放った。
「私に逆らうつもりですか?
……あなたを解雇することだって出来るんですよ?その分、遥君の負担が増えることになりますが………」
はっ、と雅さんが息を呑んだ。
そして、ちっ、と小さく舌打ちをすると、紺から視線を背けて無言になる。
それを見て、紺が、ふっ、と目を閉じて口を開いた。
「…いい子ですね。あなたは何も言わずに開発を続けていればいいんですよ。」
ただならぬ雰囲気に、私は二人をちらり、と交互に見ながら様子を伺う。
……雅さんは、自分の意思でカンパニーにいるのかな…?
まるで、無理やり働かさせてるような印象を受ける。
するとその時、沈黙を続けていた黒スーツの男が、ふと頭を上にあげて
ニヤリ、と笑った。
「…紺様。“奴”の仕事が完了したようです。
まもなく、竜ノ神のお出ましかと…。」