百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
「奴を撃ち落とした者こそが、竜ノ神の宝石を手に入れることが出来る!」
紺は、ニヤリ、と不気味な笑みを浮かべて、高らかに言い放った。
「遊馬があんたの言うことを聞くわけないじゃない!
遊馬は私たちの仲間なんだから!」
私がそう叫ぶと、紺がさっ、と私を見下ろしながら言った。
「……まだわからないのですか?
もうその男は、君たちの仲間なんかではないんですよ。私の命令には何も逆らえないんですから。」
どくん、と胸が鳴る。
うそ………
……だよね?
私は、ばっ!と遊馬の方を向いて叫ぶ。
「ねぇ、遊馬!ふざけてないで、早くそのお面をとって!
お願い……!遊馬は私たちの仲間だよね?」
しかし、私の声は何も聞こえていないように、遊馬はただ黙って空を見上げている。
まさか………
本当に、竜ノ神が出てくるのを待っているの……?
鬼火銃で撃ち落とすために…?
「相楽くん!」
周くんが願うような瞳で遊馬を見つめながら名前を呼ぶ。
しかし、遊馬は一度もこちらに反応することはない。
………遊馬……!
どうして………?
まさか、昼間に私と別れた後、カンパニーの奴らに襲われたの?
…………やっぱり、あの路地に入るところを何が何でも止めなきゃいけなかったんだ。
……私のせいだ……!