百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


その時、辺りの気配が、さっ、と変わった。

どこか神秘的な光が、階段の頂上から溢れてくる。

私と周くんは、その光景に、はっ!として空を見上げた。


まさか……竜ノ神……?!


芝狸は、目を見開いてその光を見つめる。


辺りが静寂に包まれた、次の瞬間

いつか見た七色の羽織を着た妖が、ものすごい速度で空を飛んだ。




あれは………!


『竜ノ神じゃ!周、小娘!奴の後を追うんじゃ!見失ってはいかん!』


芝狸が大きな声で叫んだ。


……ついに出た…っ!


私は、とっさに鬼火銃をネックレスに戻し、周くんは遊馬に撃ち落とされた鬼火銃のネックレスを拾い上げ

神社の階段を駆け降りようとする。


その時、お面をつけた遊馬が、空中に鬼火銃を向けた。





本当に遊馬は命令に従って、竜ノ神を撃つつもりなの?


私は、遊馬に向かって叫んだ。


「っ!遊馬!だめ!!!」

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