百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
………!
私は、一気に全身の力が抜けて
ガクッ!とその場に膝から崩れ落ちる。
その瞬間、紺が瞳をすっ、と閉じた。
「佐伯さん!大丈夫?!」
周くんが、急いで私に駆け寄った。
ひどく動揺した顔で私を覗き込む。
「う………うん……。」
バクバクと音を立てる心臓を必死で落ち着かせながら
私は、周くんの力を借りて、ゆっくりと立ち上がる。
そして、空中に浮かんでいる遥を見上げた。
…………遥、私を助けてくれたの…?
私が遥に声をかけようと口を開いた時
鬼火銃を拾い上げた遊馬の腕を、黒スーツの男が、ガッ!と掴んだ。
「今日はもういい。カンパニーに戻るぞ。」
黒スーツの男は、そのまま遊馬を引っ張って森の奥へと進んでいく。
!
……連れて行かれちゃう…!!
「!…遊馬!!待ってよ!
行かないで!!」
私は、遊馬の背中に向かって叫んだが、その声が彼に届くことはなかった。