百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
ぴくっ!と体が震える。
わ……私が……?!
体に変な力が入る。
……あれはいつもの低級妖とは違う。
やっと鬼火銃に慣れてきたってレベルの私の手に負えるの……?!
……でも………
芝狸が私に頼むってことは、加護を受けた鬼火銃じゃないと浄化出来ないってことだよね…?
………遊馬がいれば……
一人で何発も撃ち込んで、どうにか浄化してくれたかもしれないけど……。
その時、ぽん、と私の肩を周くんが叩いた。
「力を抜いて、佐伯さん。
君なら出来るよ。僕がフォローして、鬼が街に出るのを食い止めるから。」
!
どきん!と、胸が鳴る。
周くんの言葉が、私の心に染み込んだ。
………周くんがいてくれれば……
“大丈夫”。
なぜだか、力が湧いてくる。
周くんの言葉に、私は静かに頷いた。
………やるしかない。
遊馬のことで落ち込んでいる場合じゃないんだ。
どしん!!!
その時、地面が大きく揺れた。
鬼が、こちらに向かって歩いてくる。