百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


ぴくっ!と体が震える。


わ……私が……?!


体に変な力が入る。


……あれはいつもの低級妖とは違う。

やっと鬼火銃に慣れてきたってレベルの私の手に負えるの……?!


……でも………

芝狸が私に頼むってことは、加護を受けた鬼火銃じゃないと浄化出来ないってことだよね…?


………遊馬がいれば……

一人で何発も撃ち込んで、どうにか浄化してくれたかもしれないけど……。


その時、ぽん、と私の肩を周くんが叩いた。


「力を抜いて、佐伯さん。

君なら出来るよ。僕がフォローして、鬼が街に出るのを食い止めるから。」





どきん!と、胸が鳴る。

周くんの言葉が、私の心に染み込んだ。


………周くんがいてくれれば……


“大丈夫”。


なぜだか、力が湧いてくる。


周くんの言葉に、私は静かに頷いた。


………やるしかない。


遊馬のことで落ち込んでいる場合じゃないんだ。


どしん!!!


その時、地面が大きく揺れた。

鬼が、こちらに向かって歩いてくる。


< 135 / 512 >

この作品をシェア

pagetop