百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

「な………!」


私と周くんは、絶句して目の前の大きな影を見つめる。

すると次の瞬間

鬼が金棒を力一杯振って、辺りの木々をなぎ払った。


「っ…きゃあっ!!」


ザザザザッ!!!


まるで竜巻に巻き込まれたように、身動きが取れない。

ものすごいスピードで飛んでくる枝や土を、なんとか頭を庇うようにして避ける。

とっさに地面にしゃがみ込んだ私は、階段の陰に身を隠した。


ゴォッ!!


突風が私たちに吹き付ける。


…今までの妖と……

“格”が…違う………!


その時、鬼が金棒を大きく振りかぶっているのが目に入った。

その先には、金髪のロングヘアがちらりと見える。





あれは…………


「…危ないっ!!」


そう思った瞬間

無意識のうちに、私はその場から走り出していた。

鬼が思いっきり金棒を振り下ろすと同時に、私は雅さんの体を突き飛ばす。


「……っ!佐伯さん!」

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