百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
なんで鍵が開いてるの?
…ほんとにこのアパートは、セキュリティが甘いんだから………。
でも、もういいや……
愚痴を言う気力もない。
私は、ガチャ、とノブをひねって自分の部屋へと入り込んだ。
そして、一秒後
目の前に現れた光景に、頭の中のすべての考えが吹き飛んだ。
「…よぉ。お前の部屋、意外と綺麗なんだな
あ、家具がねぇのか。」
……………は?
目の前には、先ほど見た藍色の髪の青年の姿
しかもカーペットにごろり、と寝転んで
完全にリラックススタイル。
待って待って。
………一回落ち着こう。
私は、静かに廊下へと戻り、ドアを閉める。
…………ふぅ。
そして、深呼吸をして、再びドアを開けた。
すると、カーペットに寝転んだままの青年と目が合う。
「何やってんだよ。
飯勝手に作っといたからな。早く食えよ。」
「なんで遥がここにいんのよ?!」