百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、靴を脱ぐと、バタバタと部屋に入り込んで
遥に向かって言い放った。
「“飯作っといた”ってどういうこと…?!
ここ、あんたの部屋じゃないんだけど?遥は隣でしょ?!」
テーブルの上には、シンプルだが美味しそうな夕飯が並んでいる。
へー。遥って料理できたんだ。
……じゃない!!
すると、遥はむっくりと起き上がって、私に言った。
「俺、今日からここで寝るから。」
「はぃ?!!!!」
突然の爆弾発言に、私は頭が真っ白になる。
………何言ってんの、この人!!!
私は遥の腕を引っ張って無理やり立たせると
ぐい、と背中を押して言った。
「変なこと言ってないで、早く隣に帰って!
またからかってるの?今、そんな気分じゃないんだけど!」
もー!ほんとにマイペース。
こいつの態度に振り回されっぱなしなんて、もう嫌!
今の私は、遊馬のことで頭がパンクしそうなのに!
すると、遥が私の部屋の窓をガラリ、と開けた。
…?
…え?なに?
遥は、私の方を見ながら外を指差す。
「俺の部屋。今住める状態じゃないから。」
…え?