百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると、雅は、金色の髪の毛を触りながら答えた。


「カンパニーの研究室に、この髪の毛と同じ琥珀混じりの“金髪の女”がいたんだよ。

……俺はその女のフリをさせられてる。」


……研究室に…“いた”?

ってことは………?


「去年死んだんだよ、その女が。

……俺は、カンパニーに資金援助してるお偉いさん達に、女が死んだことがバレないようにこんな事をやってるんだ。」





私は、雅の瞳を、じっ、と見つめた。


死んだ女の人が、生きていると嘘をつくために………?


雅が、ふぅ、と息を吐いて続けた。


「なんでも、女が資金援助の仲介役だったらしくてさ。

……死んだとわかれば、縁を切られるみたいだ。」


そっか……

紺は、お金の収入源を確保し続けるために、雅にこんな事をさせてるんだ。


……って、待ってよ。


まだ受け止められない。


だって、雅はてっきり、遥のことが大好きな美女っていうイメージだったから…!

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