百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、その時、パタン…、と部屋のドアが閉まる音がした。
見ると、遥の姿がない。
……あれ?
……自分の部屋に行っちゃったの?
するとその時、雅が、はぁ、と息を吐いた。
「……遥は、やっぱり、まだ気にしてるのかもね。」
「え?何のこと?」
私が尋ねると、雅が視線を落として答えた。
「その亡くなったって女、実は遥の彼女だったんだよ。」
!
なぜだか、わからないけど
私はその言葉を聞いて、ズシン、と胸に何か鈍くて重いものが、のしかかった気がした。
遥の………彼女……?
その時、遥の言葉が、脳裏をよぎった。
“一年以上会ってないな。
………すげー遠距離だから。”
……遠距離……って
そういう事だったの………?
その時、私は、はっ!とした。
“会おうと思えば、すぐに会えるけど…。”
遥は、確かそう言っていた。
会おうと思えば………?
死んだ人に、すぐ会えるわけない。