百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
第3章秘密の同居
「ふぁぁ………。」
ちゅんちゅん、と穏やかなスズメの声が聞こえ、窓から優しい朝の光が差し込んでくる。
きもちいーなー………。
いつもと同じ朝、同じ空気。
そろそろ起きなきゃ……
でもまだ眠い………。
私は、ベッドの中で、ぐぃーっと伸びをしてごろん、と寝返りをうった。
すると、その時私の目の前に、大きな黒い影が現れた。
私はとっさに目を見開く。
「うわぁぁあっ?!」
私の隣には、同じベッドの上ですーすー、と寝息を立てる、一人の青年の姿。
なななな……っ!!!
私の頭の中は一瞬パニックになる。
そして、すぐに昨日の出来事がプレイバックしてきた。
そうだ……!
私はこれから、遥の部屋が元どおりに直るまで、遥と一緒に暮らすことになったんだった!
私は、そぉ……、と隣で眠る遥の顔を覗き込む。
な…なんでこいつ、私のベッドで一緒に寝てるわけ?
「ちょっと、遥?起きてよ!」
私は、声をかけながら軽く遥の体を揺する。
すると、遥は、ぼーっ、とした瞳を私に向けて、口を開いた。
「………?
なんで、お前がここにいるんだよ?」
「それはこっちのセリフだよ!!」