百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
アイツの心
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『おぅ、お主ら、やっと来たか。』
放課後。
事務所にやって来た私と周くんを
クッションの上に座る芝狸がキラリ、と
目を光らせて見た。
「“やっと”って?どうかしたんですか?」
周くんがそう尋ねると、芝狸はテレビを
指差しながら言った。
『今朝のニュースを見たか?
狐火が目撃された、というやつじゃ。』
あ!
私は、頭にピン!と思いついて、声を上げた
「狐火を目撃した人が、行方不明になったってやつでしょ?」
すると、周くんがテレビを見ながら言った。
「それって……もしかして、カンパニーと関係があるのかな?」
私は、周くんの言葉に、ばっ!と周くんの方を向いて答えた。
「やっぱり、そう思うよね?
私も、遥に……………」
うっ!、と口を手で塞ぐ。
あ……
あっぶない……。
遥のこと、言っちゃうところだった。
周くんは、頭の上に?を浮かべている。
「“私も”…?どうしたの?」
「いやいや、何でもない!」
私は、周くんに慌てて誤魔化した。