百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時、芝狸が、リモコンのボタンをポチ、と押した。
テレビの画面に、今朝のニュースが映し出される。
「芝狸、録画してたの?」
私が尋ねると、芝狸は自慢げに答えた。
『奴らに関わる情報が流れるかもしれんからな。
ニュースは欠かさず録画済みじゃ。』
再生ボタンを押すと、ニュースが流れる。
周くんが、画面を見ながら言った。
「…やっぱり、狐火っていうのが気になりますね。
芝さん、もっと調べてみて下さい。」
芝狸は、真剣な表情で画面を見つめるが
やはりニュース映像には何も映っていない。
芝狸は、腕組みをしながら、『情報が足りんなぁ…』と顔をしかめる。
確かに、ちゃんとした証拠がない以上、
カンパニーに下手に関わるわけにはいかないし…。
……紺が映ってくれてればいいのに。
その時
ぱっ、と画面が次のニュースに変わる。
そこに映し出されたのは、綺麗なショッピングモール。
私は、ふと頭の中に今朝の遥の顔が浮かんだ。