百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
“別に付き合ってやってもいいけどな。デート。”
かぁぁっ!と、顔が赤くなる。
もーっ。遥ってば!
デートとか、言うから………!
“周と行けよ。周と。”
遥の言葉が頭の中に響き、私はちらり、と周くんを見た。
そ……そりゃ、周くんと行けたら、天国だろうけど…。
すると、その時、テレビ画面を見ていた
周くんの顔つきが、ふっ、と変わった。
「芝さん、今のとこ、巻き戻せますか?」
え?
芝狸は、キュルキュル、と巻き戻しボタンを押して、数秒前へと録画を戻す。
そして、再生。
画面には、吹き抜けのように設計されているショッピングモールが映り
ガラスで出来た壁が光っている。
最近出来たばかりとあって、お客さんがいっぱいだ。
「今!芝さん、止めて!」
周くんの言葉に、芝狸が画面を止める。
すると、周くんが真剣な顔つきで
口を開いた。
「……これ……葛ノ葉 紺に似てない…?」
!