百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、周くんの言葉に、目を見開いて画面を見つめた。
行き交う大勢の人々を丁寧に見ていく。
すると、画面の手前に、黒いスーツの男と共に歩く、紫色の着物を着こなした男性の姿があった。
「……紺だ!
すごい、周くん!どうしてわかったの?」
私の言葉に、周くんは苦笑して答える。
「紫の着物を着た人なんて、そうそういないからね。
この黒スーツの男も、相楽くんを連れ去った奴にそっくりだ。」
確かに……。
私は、昨日のことを思い出す。
遊馬の腕を引っ張って行ったのは、この黒スーツのメガネの男で間違いない。
何で、紺がこんなショッピングモールに?
すると、芝狸が目を光らせて言った。
『奴め……まさか、人の集まる場所で、次の操り人形を大量に集めようとしとるのか……?』
!
私と周くんは、紺の言葉に顔を見合わせた。
確かに、警察が動いてニュースにまでなった以上、狐火を使って人をおびき寄せる作戦は取りにくい。
芝狸の言ったように、直接あの狐のお面を使って、手下を増やそうとしているの…?