百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


「……止めなきゃ……。」


私は、無意識に言葉が出ていた。


頭の中に、狐の面を被った、遊馬の姿が浮かんだ。

今度こそ、カンパニーの好きにはさせない。

私が紺の野望を阻止しなきゃ。


すると、周くんが私を見ながら口を開いた。


「佐伯さん、今週の土曜日は空いてる?

このショッピングモールに行ってみない?
また、紺が現れるかもしれないし。」


ピクン、と肩が揺れる。


…周くんと二人で?


「……空いてる。

行こう、周くん。」


私は、そう答えながら、心の中で呟いた。


……これは調査。


いくら二人っきりだって

いくら新しいショッピングモールに行くって言ったって


これは、決してデートなんかじゃない。


…………。


わかってるけど!

実際、緊張してしょうがない。


もー!今朝、遥が余計なこと言ったからだ!


私は、緊張を必死で押し殺しながら、
画面に映った紺を見ていた。


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