百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
父親が遺してくれたお金はあるけど……
なるべくお金は貯めておきたい。
はぁ……。
まさか、十六歳で人生の危機に陥るなんて。
……今年は運が悪いのかなぁ……。
今日は日曜日。
明日から学校が始まってしまう。
時計を見ると、午後十時を指していた。
わっ、もうこんな時間?
私は、内職をしていた造花をダンボールに詰める。
……お小遣い稼ぎじゃなくて、ガチの内職する女子高生ってどうなの…?
その時
アパートの電球がチカチカ、と点滅した。
「ひっ……!」
びくびくして電球を見つめると
電球は何回か点滅した後、元どおりに私を照らす。
…夜ってこのアパート、さらに怖いなぁ…。
本当にお化けでそうで………。
私が一人怯えた、その時だった。
ひらり
「ん?」
窓から、一枚の花びらが部屋に入り込んできた。
……なんだろう……?
ひらひらと舞い降りてくる花びらを
手のひらに乗せる。
「これ……“金色の桜”……?」
それは、桜の花びらの形をしていた。
しかし、色が金色だ。
普通じゃない。