百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


「とにかく、ここに住む間はその格好禁止!

次やったら、追い出すからね!」


すると、遥は少し目を細めて

その後ニヤ、と笑って口を開いた。


「俺は詠になら見られてもいいぜ?

…もちろん、触ってもいいし……」


「触るか!バカ!!」


私は、ぴしゃり!と遥に言い放つと

急いで自分の着替えとタオルを持って
脱衣所に駆け込んだ。

扉を閉めた瞬間、足の力が抜ける。

へなへなと座り込んだ私は、真っ赤になった頬に手を当てながら心の中で考えた。


…アイツ、絶対からかってる……!

本当に、心臓もたないってば…っ!


私は、遥の体を記憶から抹消しながら、一人お風呂に入ったのだった。


****


「……はぁ…。

頭が、ぼーっ、とする……。」


お風呂から上がり、髪の毛を乾かし終わった私は、ゆっくりと脱衣所から出た。


……なんか、のぼせたみたい……。

もー…!絶対、遥のせいだ…!


複雑な気持ちで部屋に戻ると

私は目の前の光景に目を見開いた。


「…なんで私のベッドで寝てるの…?」


そこには、すー、すー、と寝息を立てて
ベッドに横たわる遥がいた。

布団から藍色の髪が見える。


……私に、カーペットで寝ろってこと?

ここ、私の部屋だってば!


…もー、本当にマイペース。


私は、ずんずんとベッドに近寄って
遥に向かって声をかけた。


「遥、起きて。遥は床で寝てよ!

……ねぇ、聞いてる?」


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