百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、遥の力に敵わない。
……こうなったら……!
私は、反抗するのをピタリとやめた。
遥は、それに気付き、少し不思議そうに
呼吸をする。
と、次の瞬間。
私は遥に抱きしめられたまま、体をぐるり、と回転させた。
「?!」
予想外の私の動きに、遥はそのまま
私と共に転がっていく。
どしんっ!
そして、私は遥を下敷きにするように
ベッドの下へと転がり落ちた。
「…った……!」
遥は、小さく唸って腕の力を緩める。
その瞬間を見計らって、するり、と
腕から抜け出した。
そして、私を見上げる遥に向かって言い放つ
「次ベッドに潜り込んだら、容赦なく蹴り
落とすからね!
もちろん抱きついたらグーパンチだから!」
「!」
雅に、“遥に襲われたら逃げるか殴るかしろ”
って言われたし。
もう、遥に翻弄されるのはたくさん!
すると、遥は、ふっ、と笑みを浮かべながら答えた。
「……わかったよ。
もうベッドには入らないから。」