百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
……。
…信じられないな…。
遥のことだから、すぐからかってくるに
違いない。
私が疑念の眼差しを送っていると
遥は、むくっ、と起き上がりながら続けた。
「…本当だって。
その代わり、提案。」
…?
…“提案”?
私が、きょとん、としていると
遥が、ぐっ、と私に近づいた。
!
目を見開くと、遥は色味を帯びた瞳をして
私に囁く。
「添い寝の代わりに、おやすみのキスで
どう?」
「そんな提案のむわけないでしょっ!」
遥は、相変わらず本心の読めない表情で
からかうように笑っている。
…もうっ!
本当に、何なのっ?
あぁ、一心くん…!
早く遥の部屋の壁を直して…っ!
…こんな日常が毎日続くなんて……
ありえないーっ!!!
……こうして
私と遥の同居生活は、遥のペースに巻き
込まれながら続いて行ったのです。