百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
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「やっぱり、すごい人だね。
…紺がいても、見つけられないかも。」
私は、ショッピングセンターを見渡しながらそう言った。
キラキラとしたアクセサリーや、可愛い洋服が並び、雑貨や食品もたくさん売っていて
店の前には、ニュースで見た通り、たくさんの人々がいる。
すると、周くんが苦笑して言った。
「確かに、この中から紺を見つけるのは
難しそうだね。
…今日来ているかどうかわからないけど。」
周くんの言う通り、今日、紺がここに
来ているかどうかはわからない。
……上手く見つけられればいいけど……。
その時、私の視線の先に、見覚えのある青年の姿が見えた。
!
はっ、として立ち止まる。
「………遥…?」
私は、ぽつり、と呟く。
しかし、その青年は、人混みの中に素早く
消えていった。
……見間違いかな…?
「どうしたの?佐伯さん。」
周くんが、私の顔を覗き込んで言った。