百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


ふぅ、と小さく呼吸をする。


「疲れた?」


周くんが私の顔を覗き込みながら尋ねた。

私は、ぶんぶん、と首を横に振って、
「大丈夫、大丈夫!」と、答える。


…やっぱり、こういう気遣いをしてくれるところ、優しいな…。


さりげなく、人通りが多い方を歩いてくれるし…。

本当に王子様みたい……。


私が、ぽーっ、と周くんの横顔に見とれて
いると、周くんが笑いながら言った。


「どう?今日は気分転換になってる?

…まぁ、まだ少ししかお店見てないけど。」


私は、それを聞いてすぐに答える。


「なってるなってる!

私は、周くんとお出かけできただけで、
もうすごく嬉しい、というか………」


はっ!


そこまで言って、ぴたり、と止まる。


やばい。

心の声がダダ漏れてたーっ!


すると、周くんが、ふっ、と微笑んで、
口を開いた。


「僕も、佐伯さんと二人でここに来れて嬉しいよ。」


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