百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
………ふ
“二人で”………!
私は、かぁっ、と顔が赤くなる。
もう、本当のデートみたい…。
私は、顔のゆるみを抑えきれずに、
手を頬に当てる。
あー。
ニヤニヤが止まらない。
ダメだ、周くんの顔を直視出来ない。
私は、ふぃ、と視線を広場に向けた。
すると、その時
視界の端にちらり、とある人影が映った。
さらりとした藍色の髪の毛が、太陽に照らされている。
「…えっ!」
つい、声が漏れた。
「どうしたの?佐伯さん。」
周くんが私に尋ねる。
「あれ………。」
私が呟くと、周くんは私の視線の先に
目を向けて
そして、ぴくり、と肩を揺らした。
「……九条…遥…!」
周くんが、そう、低く呟いた。
やっぱり、前に見たのは見間違いじゃなかったんだ!
……って、なんで、アイツここにいるの?!
周くんが、そっと口を開く。
「…予想が当たったね。
カンパニーがここにいるってことは、今日、紺がここで何かをするつもりなのかもしれない。」