百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私の言葉に、周くんが頷いて続けた。
「あれだけショッピングセンターにはお客
さんがいたのに、ここに誰一人いないなんて、おかしいよね。」
私は、嫌な予感がして、ぞくっ、と体が
震えた。
……何か……この水族館で起こってる。
カンパニーが何かをしているんだ。
まさか、ここであの狐のお面を使って、
手下を集めるつもり…?
頭に、遊馬の姿がよぎる。
みんな……遊馬みたいに、操られちゃうの……?
…怖い……!
私が体をこわばらせた、その時。
繋いでいる周くんの手に、ぎゅっ、と
力が込められた。
さっきよりも、ずっと周くんの体温が伝わってくる。
……!
目を見開く私に、周くんが優しく囁いた。
「大丈夫…。僕が、何があっても、佐伯さんを守るから。」
!
どきん!
胸が大きく高鳴った。
私は、言葉を口に出来ず、ただ、こくん、と頷いた。
……ここが暗くて良かった。
たぶん、私、顔真っ赤だ。