百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
第4章竜ノ神に願え
あの水族館の日から、約一週間。
事務所の部屋のテレビには、大盛況のショッピングモールの特集が流れている。
どうやら、周くんが割った水槽はすべて
元に戻り
次の日には、まるで何もなかったかのように営業を始めたらしい。
テレビを見ながら、私の隣でソファに座る
周くんが言った。
「…あの日、水族館で紺に狐の面を被せられた人は、今、どうなっているんだろう。」
その言葉に、芝狸は、腕を組みながら答える。
『ニュースになっている様子もないし、紺が裏でテレビ局や警察に“まやかしの術”でもかけているのかもしれんな。』
ということは、まだ解放されてないってことだよね?
私は、芝狸に尋ねる。
「みんな操り人形にされたままってこと?」
すると、芝狸は眉間にシワを寄せて、落ち込んだ声で言った。
『…じゃろうな。
紺が、わざわざ出向いて面をつけたんじゃ。簡単に解放するはずがない。』
周くんも、芝狸に続けて話す。
「…あれだけ多くの操り人形を作ったんだ。
何か…大きなことを始めるつもりかもしれないね。」