百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、ぞくっ!と震えた。
前は、四、五人の操り人形を使って、私たちを足止めするぐらいだったけど…
それとは比べものにならないぐらいの人数を使った作戦となると……
ついに竜ノ神探しを本格的にするつもりってこと…?
私は、ふと、遥の姿を思い浮かべる。
あの日から、遥には会っていない。
アパートに帰ってきた様子もないし…
本当、一体どこで何をやってるのよ…。
すると、難しい顔をしていた芝狸が、
ふと私たちを見て言った。
『紺の奴が何を考えてるかはわからんが……このままじっとしてはおらんじゃろう。
気を抜かずに、カンパニーの奴らには関わらんようにするんじゃ。』
私と周くんは、その言葉に頷いて顔を見合わせた。
すると、周くんが言う。
「そういえば、詠ちゃんって、あの金髪の
女の人とも知り合いなの?」
え?
周くんの言葉に、私は、きょとん、と
首をかしげる。
すると、周くんはジェスチャーをしながら
言った。
「ほら、あの“雅さん”って人。」