百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜




私は、「あぁ!」と、頭にぴん!とくる。

雅が男の人だって知ってから“あの金髪の女の人”って言われても思い浮かばなくなっちゃったから

一瞬、誰のことを言われているのかわかんなかった。


「うん。すごく敵視されてたんだけど…、…ちょっとした知り合いになって。」


私が答えると、周くんは、へぇ、と呟いて、私に言った。


「雅さんも、詠ちゃんのこと名前で呼んでたし、水族館でも悪い人じゃなさそうだったから…

少し気になってたんだ。」


そういえば、水族館で雅は、私と周くんの
ことを助けようとしてくれたんだ。

すると、それを聞いていた芝狸が、尻尾を、ぶん!と振りながら口を開いた。


『内心カンパニーに逆らっていたとしても、奴らは紛れもなく敵なんじゃ。

必要以上に、近づくんじゃないぞ?』


私は、芝狸に「わかってるよ。」と答えて、ふぅ、と息を吐いた。


………そうだよね。


いくら、すこし分かり合えたからって、
遥や、雅たちとは“敵同士”なんだ。


なんか…ちょっと悲しいな…。


私は、一人そんなことを考えながら、ニュース番組を見続けていた。


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