百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、周くんの言葉にすぐに答える。
「頼りなくなんかないよ!いつも私の隣には周くんがいてくれたもん。
すごく……心強いよ。」
すると、周くんは、ふっ、と嬉しそうに
笑って言った。
「そっか……ありがとう。
じゃあ、またね詠ちゃん。」
周くんは、最後に優しく微笑むと、
私に手を振って住宅街へと歩いて行った。
私は、その後ろ姿を眺めながら思う。
………本当に、尊敬するな…。
気遣いをする天才なのかもしれない。
いつも、周くんの言葉で心が軽くなる。
私は、ギシギシ、と階段を登って、部屋の鍵を開ける。
中に入り、ドサ、とベッドに寝転ぶと、
周くんの言葉が、頭の中で再生される。
“そんな不安そうな顔しなくて大丈夫だよ。
頼りないけど……僕がいるから。”
!
きゃーっ!
周くん……本当に王子様!
思わず、手足をバタバタさせる。
…遥とは大違い。