百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


私が、ぎゅっ!と目をつぶった時

耳元で雅が言った。


「……詠………逃げろ………っ!」


………え………?


その時

私の首元から、シャラ…、と小さな音が
聞こえた。

と、次の瞬間。

小さな蜘蛛が、雅の体から離れる





驚いて目を見開いた瞬間

目の前に、見慣れた黒スーツの男が現れた。

その姿を見て、私は叫ぶ。


「……八雲?!」


その瞬間、八雲は、すっ、と私の前に
手を出した。

その手には、キラリ、と光るネックレスが。





あれは………!

私の鬼火銃!


「簡単に信頼していただいて、ありがとう
ございます。

……意外と、単純なんですね、あなたは。」


!!


その時、雅が私から離れて、八雲を睨んだ。


「…てめぇ。…よくも俺の体を好き勝手
使いやがって…!」


その瞬間、すべての謎が解けた。

雅が、私に男だとばれていることを知らなかったのも

急に変なこと言いだしたのも

全部、八雲が、私の鬼火銃を盗むために
やったことだったの?!

< 262 / 512 >

この作品をシェア

pagetop