百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私が、ぎゅっ!と目をつぶった時
耳元で雅が言った。
「……詠………逃げろ………っ!」
………え………?
その時
私の首元から、シャラ…、と小さな音が
聞こえた。
と、次の瞬間。
小さな蜘蛛が、雅の体から離れる
!
驚いて目を見開いた瞬間
目の前に、見慣れた黒スーツの男が現れた。
その姿を見て、私は叫ぶ。
「……八雲?!」
その瞬間、八雲は、すっ、と私の前に
手を出した。
その手には、キラリ、と光るネックレスが。
!
あれは………!
私の鬼火銃!
「簡単に信頼していただいて、ありがとう
ございます。
……意外と、単純なんですね、あなたは。」
!!
その時、雅が私から離れて、八雲を睨んだ。
「…てめぇ。…よくも俺の体を好き勝手
使いやがって…!」
その瞬間、すべての謎が解けた。
雅が、私に男だとばれていることを知らなかったのも
急に変なこと言いだしたのも
全部、八雲が、私の鬼火銃を盗むために
やったことだったの?!