百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
雅は、金髪の長い髪をかき上げて、ちっ、と舌打ちすると
ポケットの中をゴソゴソと探って、ぱっ
、と私の前に手を出した。
そこには、銀色の鬼火銃が。
「ん。これは俺の作った、鬼火銃の偽物。
球は五発しか撃てないけど、無いよりマシ
でしょ。」
……え?
おずおず、と受け取る私に、雅は言った。
「…身体を乗っ取られた俺にも責任はある。
あんたの鬼火銃は、俺が盗ってきてやるからそれまでこれを使ってな。」
私は、呆気にとられて、雅を見つめた。
雅は、トトト…、とスマホの画面を操作しながら、すっ、と胸元から黒いサングラスを出した。
雅は、サングラスをかけると、窓の外を眺めて呟いた。
「……悪いけど、いつ返せるか、わかんないから。
八雲、行方くらますのが遥並に上手いし。」
私は、驚いて尋ねる。
「遥も、行方不明なの?」
すると、雅はスマホを操作しながら答えた。
「いや、今回は紺に色々連れまわされてる
みたい。
…たぶんカンパニーは、来週にでも動き出すよ。」
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