百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私は、雅の言葉に、耳を疑った。
……“来週にでも動き出す”……?
やっぱり、竜ノ神が見つかりそうなの?
言葉が出ない私をよそに、雅はスマホを操作し終わると、スタスタと玄関へと向かう。
そして雅は、靴を履きながら、こちらを見ずに言った。
「…詠、もう油断すんなよ?
次に会った時は、もう手助けなんかできない関係だからな。」
どくん、と胸が鳴る。
…やっぱり、“敵同士”ってこと……?
雅は、玄関の扉を、ガチャ、と開けて
足を踏み出した。
そして、ふと立ち止まる。
?
私が見ていると、雅は、ちら、と振り返って言った。
「…あんた、あーゆー強引な迫られ方がいいの?
…遥があんたをからかう理由が分かったわ」
……へ?
予想外の言葉に、かあっ、と顔が赤くなる。
雅は、そう言うと、玄関を出て階段へと進む。
私は、はっ!として、雅を追いかけた。
そして、住宅街へと向かう雅に叫ぶ。
「雅!鬼火銃ありがとう!」
すると、雅は、一瞬顔を向けると
すぐに、ふいっ、と顔を背けて行ってしまった。