百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると、芝狸が、私の首に下がっている銀色の鬼火銃のネックレスをまじまじと見た。
『ふぅーん……これがカンパニーのやつか。まぁ、五発撃てるだけマシじゃ。
その、雅って奴が上手くやってくれるのを
願うだけじゃな。』
私は、その時、雅の言葉を思い出す。
「そういえば、雅が“カンパニーは来週にでも動き出す”って、言ってた。」
それを聞いた瞬間
周くんと芝狸は目を見開く。
『何じゃと…?!…くそぅ、紺め。
ついにわしとの決着をつけるつもりか…!』
周くんが、芝狸に続いて言う。
「来週は、ちょうど連休があるね。
そこを狙って仕掛けてくるかもしれない。」
カレンダーを見ると祭日と休日が並んでいる。
カンパニーは、動き出す準備は整ってるんだ…。
私は、ふと、考える。
……もし、竜ノ神の宝石を手に入れられたとしたら……。
すべての戦いに、決着がつく。
紺の思い通りにさせるわけにはいかない。
その時、遥の顔が浮かぶ。
…遥は、いくら紺が嫌いだと言っても、
カンパニーには逆らえない。
次に会った時は…竜ノ神を狙う“敵同士”だ。
私は、ふぅ、と息を吐くと
鬼火銃のネックレスを、きゅっ、と握った。