百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

嘘と真相


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ついにやって来た、連休初日。


私と周くんは、朝から事務所に集まって
芝狸とともにテレビを見つめていた。

芝狸は顔をしかめて言う。


『紺のニュースが流れる、ということはないか…。

しかし、妙に妖の気配が多くなっとるんじゃがなぁ…。』


“妖の気配”………?


竜ノ神の妖気に、妖たちが反応して集まって来ているってこと?


すると、周くんが窓の外を見ながら呟いた。


『確かに…今日は天気も良くないし…

…嫌な妖気が漂っている気がしますね。』


そうなんだ…。


私は周くんにつられて窓の外を眺める。

空は分厚い灰色の雲に覆われていて、どこか雨が降りそうな湿気だ。


……気味が悪い。


私が、小さく腕をさすった時、テレビから、いつもの陽気な声が聞こえてきた。


『おはモーニング!みなさんお待ちかねの、占いのコーナーです!』


私は、ぱっ、と画面に目をやる。

周くんも、私と一緒に画面を見た。

今日の運勢が、次々と発表されていく。


『そして、三位は、おひつじ座のアナタ!

信じてきたことが、現実となりそう。

最後まで自分と仲間に正直でいることが鍵です。』


三位か……。


“信じてきたことが、現実となりそう。”…?


どういうことだろう?

とりあえず、最後まで自分を信じてやるしかないってことかな?


……今日みたいな大事な日に
最下位とかじゃなくて本当に良かった…。


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