百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
アナウンサーはどんどん星座を発表していく。
『そして、十位は乙女座のアナタ。』
無意識に、“乙女座”という言葉に反応して
しまう。
……遥だ…。
私は、ごくり、と喉を鳴らして画面を見た。
『今日のアナタはまさに“二兎追うものは一兎も得ず”です。
本当に大切なことを見極めて、一つの選択肢に賭けましょう。』
遥が前に言った通り、その日の占いは、
当たり障りのない言葉が並んでいた。
私は、周くんに向かって口を開く。
「周くん、何位だった?」
すると、周くんは、にこ、と笑って答えた。
「三位。おひつじ座なんだ、僕。」
え!
私は、ぱあっ!と瞳を輝かせる。
「私もおひつじ座なの!今日の運勢悪くなくて良かったね!」
すると、周くんが「一緒なんだ!」と笑って続けた。
「この占い、結構当たるらしいよね。
……本当に、信じてきたことが現実になればいいけど。」
私は、周くんの言葉が、胸に響いた。
…今日…竜ノ神が見つかるってこと…かな?
テレビがニュース画面に変わり、周くんが、小さくため息をつく。
「……今日は…嫌な予感…じゃないけど
どこか、胸騒ぎがするんだ。」
私は、そう言った周くんを
ちらり、と見上げた。