百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

その時、目の前が開けて広場に到着する。

そして、私たちの目の前に広がっていたのは目を疑うような光景だった。

周くんが小さく息を吐きながら、ぽつり、と呟く。


「な……何人いるんだ………?」


そこには

新型の狐の面をつけた人々が、ざあっ!と
立ち並んでいた。


ざっ、と数えただけで四十人……

いや、五十人はいるかもしれない。


まさか…ここまで操り人形を増やしていた
なんて……!


私たちが言葉を失って立ち尽くしていると、聞き覚えのある声が広場に響いた。


「事務所のみなさんお揃いで。

…お待ちしておりましたよ。」





ばっ!と声のする方を見ると

そこには黒スーツに身を包んだ八雲の姿があった。

私は、それを見た瞬間、八雲に向かって叫ぶ。


「あんた、私の鬼火銃どこにやったの!

早く返して!」


すると、八雲はメガネの奥の瞳を細めて、
さらりと答える。


「申し訳ありませんが、今日はカンパニーに置いてきたのです。

……ここにはありません。」





な…………!


私が、八雲に怒鳴ろうとした、次の瞬間。

視界の端に、“見慣れた青年”の姿が入った。

はっ、と、一瞬、時が止まる。


「……相楽……くん!」


周くんが、無意識に出たような声で
そう言った。


< 271 / 512 >

この作品をシェア

pagetop