百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
その時、目の前が開けて広場に到着する。
そして、私たちの目の前に広がっていたのは目を疑うような光景だった。
周くんが小さく息を吐きながら、ぽつり、と呟く。
「な……何人いるんだ………?」
そこには
新型の狐の面をつけた人々が、ざあっ!と
立ち並んでいた。
ざっ、と数えただけで四十人……
いや、五十人はいるかもしれない。
まさか…ここまで操り人形を増やしていた
なんて……!
私たちが言葉を失って立ち尽くしていると、聞き覚えのある声が広場に響いた。
「事務所のみなさんお揃いで。
…お待ちしておりましたよ。」
!
ばっ!と声のする方を見ると
そこには黒スーツに身を包んだ八雲の姿があった。
私は、それを見た瞬間、八雲に向かって叫ぶ。
「あんた、私の鬼火銃どこにやったの!
早く返して!」
すると、八雲はメガネの奥の瞳を細めて、
さらりと答える。
「申し訳ありませんが、今日はカンパニーに置いてきたのです。
……ここにはありません。」
!
な…………!
私が、八雲に怒鳴ろうとした、次の瞬間。
視界の端に、“見慣れた青年”の姿が入った。
はっ、と、一瞬、時が止まる。
「……相楽……くん!」
周くんが、無意識に出たような声で
そう言った。