百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜

遊馬は、スタスタと歩き、八雲の隣に並ぶ。

芝狸は、黙ってその様子を見ていた。


「…遊馬………!」


私は名前を呼んだが、やはり返事はない。


……まだ操られたままなんだ……!


頭の中に、遊馬に鬼火銃を突きつけられた
過去の記憶が浮かぶ。


……もう…あんな思いはしたくない……。

遊馬とは…戦いたくないよ……!


すると、その時だった。


ビュゥゥウッ!!


突然、激しい風が広場に吹き荒れた。

私と周くんは、咄嗟に目をつぶる。


な…何………?!

何が起こったの?!


はっ!として目を開けると、私たちの目の前に大きな葉っぱの扇子を手にした巨大な天狗が現れた。





私たちは、絶句してその赤い顔を見つめる。

ギョロリ、と、鋭い瞳が私たちをとらえた。


何あれ…!

まさか、一心くんのお父さん?!!


すると、次の瞬間

天狗が、ブン!と手に持った扇子を私たちに向かって大きく煽いだ。

ザァアァッ!!!と突風が私たちを襲う。


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