百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私が八雲の前に立つと
彼は、ふっ、と小さく笑みを浮かべて
口を開いた。
「…雅の作った所詮ニセモノのその鬼火銃で
竜ノ神を撃つつもりですか?
…笑わせますね……。」
私は、静かに込み上げる怒りを
腹の底に押さえ込みながら、口を開いた。
「…紺はどこにいるの……?」
すると、八雲がメガネを押し上げながら
言った。
「それは教えられませんねぇ……。
企業秘密ですから。」
余裕の八雲の態度に
私は小さく拳を握って言った。
「…竜ノ神の宝石は、何があっても事務所が貰う。
あんた達なんかには、渡さない……!」
すると、それを聞いた八雲が
ぴくり、と眉をひそめた。
そして、冷たく、鋭い視線を私に向ける。
!
ぞくっ!と、背筋が震えた。
八雲は動揺する私に、低い声で言い放った。
「…やはり、鬼火銃を奪い取るだけではダメですね。
いっその事、ここで消えてもらいましょう……!」
……!