百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
雅が、遊馬を横目で軽く見上げながら言った
「お前……私の面に、細工しただろ?」
……え!
私と周くんが、それを聞いて遊馬を見つめると、遊馬が表情を変えずに答えた。
「…潜入させてもらってる時に“少し”な。
悪いけど、こいつらは全員解放させてもらうぜ。」
……!
私と周くんが言葉を失っていると
雅が、ふっ、と笑って答えた。
「ま…、紺の手下が消えるだけの話。
あんたがやったって知っても、私は別に
紺に告げ口するつもりはないし。」
すると、遊馬は雅をちらり、と見て言った。
「そりゃ、どーも。
…面の性能が良すぎて、仕掛けに困ったよ。さすが、紺が信頼する“女研究者”だな。」
それを聞いて
雅が、不機嫌そうに言い放った。
「…女扱いすんな。
俺は正真正銘の“男”だ。」
「…え?」
その瞬間
その場にいた私以外の二人と、一匹が
石のように固まった。
………ですよね。
遊馬が、信じられない、という目つきで
雅を見つめる。
「…近くにいてもわかんなかった。
え?マジかよ?ちょっと確かめさせろ。」
「おい!やめろ!こっち来んな!」
雅と遊馬が言い合いを始めたところで
私は遊馬に向かって歩み寄った。
私が、ぎゅっ!と遊馬の服を掴むと
遊馬は驚いたように私を見る。