百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
すると遊馬は
私の頭を、わしゃわしゃ!と撫でた。
驚いて顔を上げると
遊馬が、優しい笑顔で口を開いた。
「佐伯と周がいてくれたから、俺は任務を果たせたんだよ。
本当に、感謝してる。」
“任務”………?
私は、それを聞いて、はっ、と思い出す。
そして、遊馬に向かって尋ねた。
「まさか、私にも周くんにも言えない“特別任務”って、カンパニーに潜入調査することだったの?」
私の言葉に、遊馬は、こくん、と頷いた。
……ってことは、こんな危険なことを
指示したのは、芝狸だってことよね。
私は、ギロリ、と芝狸を睨んだ。
あいつ……全部知ってたんだ。
遊馬は、一歩間違えれば
紺に殺されてたかもしれないのに!
すると、芝狸は私の視線を、びくっ、と
しながら受けながし、遊馬に尋ねた。
『遊馬……お主は本当に優秀な部下じゃ。
まさか、狐の面の手下も解放するとは…
ところで、竜ノ神の居場所は掴めたのか?』