百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜


すると遊馬は
私の頭を、わしゃわしゃ!と撫でた。

驚いて顔を上げると
遊馬が、優しい笑顔で口を開いた。


「佐伯と周がいてくれたから、俺は任務を果たせたんだよ。

本当に、感謝してる。」


“任務”………?


私は、それを聞いて、はっ、と思い出す。

そして、遊馬に向かって尋ねた。


「まさか、私にも周くんにも言えない“特別任務”って、カンパニーに潜入調査することだったの?」


私の言葉に、遊馬は、こくん、と頷いた。


……ってことは、こんな危険なことを
指示したのは、芝狸だってことよね。


私は、ギロリ、と芝狸を睨んだ。


あいつ……全部知ってたんだ。

遊馬は、一歩間違えれば
紺に殺されてたかもしれないのに!


すると、芝狸は私の視線を、びくっ、と
しながら受けながし、遊馬に尋ねた。


『遊馬……お主は本当に優秀な部下じゃ。
まさか、狐の面の手下も解放するとは…

ところで、竜ノ神の居場所は掴めたのか?』


< 289 / 512 >

この作品をシェア

pagetop