百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
私と周くんは、それを聞いて目を見開く。
…急がないと…
紺は、遥の加護者の力を使わせて
竜ノ神をおびき出すつもりなんだ…!
「行こう、みんな!」
周くんが、芝狸を抱き上げて
私と遊馬を見た。
私と遊馬は、その言葉に頷いて走り出す。
すると、雅が妖馬に乗って、すぅっ!と
空に舞い上がった。
そして、私たちに向かって叫ぶ。
「…まだ間に合うとは思うけど……
ま、紺が妖の王様にならないようにせいぜい頑張りな。」
!
……そっか…!
今日、すべての決着がつくかもしれないんだ…!
私は、走りながら雅に向かって叫んだ。
「色々ありがとう、雅!」
雅は、私の言葉に軽く手を振ると
そのままひゅいーっ、と飛んで行った。
……私たちも、空を飛べたらいいのに。
もし、間に合わなかったらどうしよう…!
するとその時
芝狸が、周くんの腕から身を乗り出しながら言った。
『こーなったら、わしの妖力を使って、瞬間移動じゃ!
全員、わしに掴まれ!』