百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
えっ!
芝狸、瞬間移動なんて出来るの?!
その場にいた全員が、驚いて芝狸を見つめる
すると、芝狸は焦った様子で怒鳴った。
『いーから、早くせんか!!
掴まらなかった奴は、問答無用で取り残すからな!』
ひっ!
そ……それだけは嫌だ!
私は、急いで芝狸を抱いている周くんに
くっついた。
遊馬も、切羽詰まった顔をして
周くんに掴まる。
『行くぞ、歯を食いしばれーっ!』
芝狸がそう叫んだ、次の瞬間
私たちの体は、その場から、シュン!と
消え去ったのだった。
**
はっ!と気がついた時には
私たちの目の前に、大きな山がそびえ立っていた。
私は驚いて目を丸くする。
……瞬間移動出来ちゃったってこと…?
芝狸って、本当にすごい妖だったんだ?!
『感心してる暇はないぞ!
この先から、紺の嫌な気配を感じるわい!
急ぐぞ、走るんじゃ!』
私は、芝狸の言葉に、はっ、として足を
動かす。