百鬼夜行 〜王子と狸と狐とアイツ〜
狐か、狸か。
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『そろそろゴールが見えてきたぞ!
紺の気配がプンプンするわい!』
山に入ってから十分ほど走ると
芝狸がそう叫んで前を見つめた。
つ………
辛いっ!
正直、山道走るのに精一杯で、これから
竜ノ神を追いかけ回す体力皆無……っ!
私が、周くんと遊馬の後ろを付いていくように走っていると
先頭を走っていた遊馬が叫んだ。
「見ろ!山頂に着くぞ…………っ!」
その言葉とともに、パァッ、と目の前が
明るくなる。
そして、緑に茂った山道を抜けた瞬間
私たちは言葉を失った。
!
あれは…………………!
私たちは、目の前の光景に釘付けになる。
そこには、綺麗な羽織を着た妖が荘厳なオーラを放って空に浮かんでいた。
そして、澄んだ瞳で私たちを見つめている。
あれは………
私が初めて会った妖………!
竜ノ神をじっくり見るのは、これが初めて
かもしれない。
…………綺麗………。
オーラに吸い込まれて、自分がどこかへ
行ってしまいそう。
すると、竜ノ神の首に、七色に輝く大きな
水晶のようなものがぶら下がっていることに気づいた。
!
まさか……あれが………
ずっと私たちが求めてきた
“願いが叶う宝石”…?!